パロアルトのP.E.・体育

アメリカに引っ越してすぐの学校の説明会で、

初めて見知らぬ親に自分から小声で質問をしたのが、

"What is PE?(PEって何?)"でした。

心臓バクバクな私に対し、その人はクールに"Physical Education"と教えてくれました。

 

そう体育です。

そんな事もわからずに日本からやってきたのです。

 

余談ですが、Back to school nightという大切な学校の説明会も

知らずにすっぽかしてしまい、

親切な保護者達と先生から翌日個別に説明をしてもらったのも私です。

右も左もわからない状態でシリコンバレーに子連れでやってきて、

こちらに来てからは目から鱗の日々。毎日いろんな勉強をさせてもらってます。

 

さて、本題に戻りまして

アメリカの体育は、小学校から体育専門の先生が教えます。

授業料が無料でいつも予算がカットされる公立校では

体育は予算削減の対象になりやすく、授業数が制限されたり、

先生そのものがリストラされて担任の先生が兼任するなどという話をよく耳にします。

 

パロアルトは熱心な保護者からの寄付金で体育の先生のお給料をまかなっているので

小中高ともに体育の授業を受ける事ができます。

 

多くの場合、先生はとってもスポーティーないわゆる体育会系の人ですが、

小学校だけは毛色が違います。

知り合いのお母さん、それもハーバードとスタンフォードを卒業して

文章を書くのが上手なメガネ姿のあまりスポーティーには見えない人が、

突然小学校の体育の先生になったと聞いて驚きました。

小学校のうちはそれほど専門的な知識は必要ではないのでしょう。

 

小学校の体育は遊びの延長で、

運動よりも子供達を飽きさせないような工夫を沢山しています。

例えば、ある日の授業は“宝探し”。

平均台や石にみたてたプラスチックの小さな台などで障害物を作り、

森の中を抜けると宝石箱が置いてあり、中には指輪が入っている。

BGMはインディジョーンズ!運動というよりもゲームですね。

 

クリスマスの頃には

トナカイのカチューシャをした子供達が

お手製のソリにサンタ役の子供をのせてグルグルと校庭を回っていました。

カチューシャをする意味があるのかどうかわからないけど、

子供達が無性にかわいくて、いつまでも眺めていたい光景でした。

 

以前、体育教師はキンダー担当、1〜3年生担当、4・5年生担当と

分かれていたのが、一人の先生が全学年を担当し、

毎年担当学年が子供と一緒に上がっていく方式に変わりました。

つまり子供達はずっと同じ教師から体育を教わる確率が高くなり、

より個性を理解してもらえるようになった訳です。

 

 

中学生になると急に体育が厳しくなり、先生達も体育会系な人たちになります。

7年生はなんと週に4回も授業があり、高校ではもっと運動量が増えます。

フリスビーなど楽しそうな課目もありますが、

マイルラン、長距離走などガチなものが増えてきます。

 

パロアルトの中学は公立でもプールがあり授業もあります。小学校はありません。

アメリカはエリアによってプールのない公立校が山のようにあるので

恵まれていると言えます。

ただ児童数が多すぎるので、日本のように夏は連日プール授業という事ができません。

 

ひところは生徒が増えすぎてプールに入れない児童が出ると先生が話していましたが、

うちの子達は年に数回ですが、プール授業がありました。

授業内容も泳ぎ方を一から懇切丁寧に教えるものではなく、

ジャブジャブ泳がせて、いきなりテストで

規定のタイム以内に泳げなかったら追試というもの。

こちらは家庭にプールがあったりするので、みんな案外泳げる事に驚かされます。

我が家は夏の日本の一時帰国時に日本の学校で泳ぎを仕込んでもらえたので

かろうじてテストはパスできました。

 

日本で言うプール開きはなく、屋外プールでいつでもオンシーズン。

新春の冬にプール授業が回ってくる子供達もいます。

温水プールだけど、相当寒いらしい。

乾布摩擦のように、わざと条件の悪い日に授業をやって体力をつけさせてるのかな?と思うくらい、

あったかい時期にプール授業をした覚えがありません。

 

高校も最初の2年間は90分のPEが週3回必修です。

これが結構きついらしい。

どうやらカリフォルニアのルールでかなりの量の運動をしなくてはならないそうです。

 

内容は

1.チームスポーツ、

2. 水泳・ウォーターゲーム、

3. 個人競技、

4.リズムの分野に渡って色々。

1はサッカーやバレーボール、ラクロスなどの他、フリスビー、インドアホッケー、

フラッグフットボールなど楽しそうなものも見られます。

3ではレスリング、ウェイトトレーニング、ジム(新体操)、

ゴルフやバドミントンも個人競技なんですね。

4はもっぱらダンスです。

必修ではなく選択では

ダンスやヨガ、アスリートのためのボディコンディショニングクラスもあります。

 

PEでは小中高ともに一つの競技を長く続けるのではなく、

次々と新しいスポーツにチャレンジするのがこちらの特徴だと思います。

先日、私はピックルボールというミニテニスのようなゲームを楽しんだのですが、

子供達はずいぶんと前にPEで体験済みでした。

 

PEではありませんが、スポーツ栄養学やキネシオロジー(運動学)、

運動生理学などの授業も希望すれば高校で選択が可能です。

パロアルトハイスクールはスポーツに力を入れていて、

有名なスポーツ選手を例年輩出しています。

今年は70人近い生徒がスポーツ選手としてカレッジと契約し

進学する事が決まっています。これは他校と比べると圧倒的に多いです。

 

 

またうちの子の高校では学校外でスポーツを週に15時間以上やっているなどの人はIndependent Study PEと言って授業が免除されます。

この場合、授業は全く参加する必要はなく、

決められたレポートを定期的に先生に提出すれば成績にAがつきます。

このルールは学校によって違い、全然免除にならない学校もあるようです。

またバレエはアメリカではスポーツではなくアートと見られるために

PEが免除にならない場合があります。

友達の学校は携帯にアプリをダウンロードして

運動量を計測したものを提出すればPEが免除でした・・・が、

室内でダンスをしている子だったのでちっとも運動量が上がらず、

GPSに反応させるためにむやみに散歩に出たりしなくてはならなかったそう。

  

あ、あと体操服もあります。

学校名の入ったTシャツとバスケパンツに油性ペンで読めるように名前を書きます。

なんとなく日本っぽいですね。

 

 

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