学校のオーケストラ

授業料が無料のアメリカの公立校では

予算が削減されると音楽や体育の先生にお給料が払えなくなり、

子供達は授業が受けられなくなることがあります。

シリコンバレー、ベイエリアも例外ではありません。

そんな中で、パロアルトでは体育も音楽も授業ができているという事に

感謝しなくてはなりません。内容はともかく。

 

今日はオーケストラの活動について記録しておきます。

 

オーケストラと呼んでいるのは

バイオリン、ビオラ、チェロ、ダブルバス(コントラバス・中学くらいから)

で構成される弦楽楽団です。

フルートやクラリネット、トランペットなどはバンドと呼ばれ、練習は別々。

先生も違います。

 

小学校は4年生で全員がリコーダーを習い、

オーケストラは希望者のみオーディションで入れました。

また一からバイオリンを始めたい人は

抽選で週に一回レッスンを受けることができます。

(上の子は申し込みましたが、抽選から外れました。)

小学校のオーケストラは1年以上の経験がある楽器じゃないと入れません。

 

サニーベールの学校では1年生でも希望すれば学校で練習させてくれる

という話を聞きました。上達する子が出て来そうですね。

 

5年生になると、オーケストラかバンド、コーラスの中から

興味あるものを選び所属します。

バンドでは女の子はフルート、男の子はトランペットに人気が集中しがちで、

皆希望の楽器を練習させてもらえます。

オーケストラもそうですが、バランスを取るために楽器を変更させるという事は

あまりしません。

授業は週に2回。毎日15分程度、家でも練習することが期待されています。

 

数名の先生がパロアルト中の学校を掛け持ちして教え歩きます。

 

コンサートは学校で2〜3回あります。

まだまだ初心者なので、有名な曲をゆっくりと、

時には楽しいパフォーマンスを織り交ぜながら聞かせてくれます。

耳栓がなくても大丈夫。たぶん。。。保証はしませんけど。

リコーダーのコンサートの時は、

マーチングバンドのように首を左右に振りながら子供達が演奏してくれたり、

叫び声を入れたりして面白かった記憶があります。

小さい時の音楽の発表会もそうですが、見る人を楽しませようという気配りが伺え、

さすが、ショービジネスの国だわと感心したものです。

 

 

希望者にはオーナーオーケストラという活動もあって、週に1回の練習を数ヶ月し、

年度末にコンサートを開催します。

 

中学も1年目は音楽が必修科目ですが、2年目からぐっと参加者が減ります。

小学校同様にオーケストラ、バンド、コーラスの中から選びます。

授業は同じく週に2回。

小学校よりは少しレベルは上がるもののチューニングはしません。

形式的にはしていますが、

生徒がチューニングを合わせられるレベルに達していないので事実上不可能。

 

さらにもっと楽器をやりたい人のために

オーナーオーケストラやスモールアンサンブル、ジャズバンドなどがあり、

オーディションをしてメンバーを選びます。

 

先生は楽団を掛け持ちで見ている人もいます。

コンサートの回数が増え、年に4〜5回、それも夕方とか一旦帰った後に開催され、

出ないと成績に響くので大変になって来ます。

服装も指定されたものでないといけません。

うちの子の学校はTシャツかポロシャツが配られました。

バンドは地元のお祭りでパレードをしたり、

有志による出張演奏などの機会も出て来ます。

 

年度末にはロスアンゼルスのディズニーシアターでコンサートをするようになり

子供達を喜ばせています。もちろん空き時間にはディズニーランド見学ができます。

 

高校もオーケストラ、バンド、ジャズバンド、コーラスがあり、

かなり専門的になってきます。

拘束時間も増えるので、他の活動と掛け持ちは難しいです。

中でもバンドは

アメリカの高校生活の華とも言えるフットボールの試合での演奏があり忙しいです。

そう、チアガールと一緒に選手を応援するのですよ。本格的です。

 

ステートレベルのオーケストラ、ナショナルレベルのオーケストラ等があり

上手な人にはそこで演奏できる機会があります。

 

近所では学校のオーケストラがカーネギーホールで演奏したり、

演奏旅行に東海岸へ行ったりナショナルレベルの活動をしている所があります。

うちの子がいるパロアルトハイスクールはそのレベルに達していません。

 

小学校の頃からプライベートで楽器を練習していて上手な子を

あまり大事にしてくれない傾向があり、

特別に上手な子は学校では演奏しなくなってしまいます。

上手なはずなのに成績も初心者の生徒より厳しくつけられたりして。

 

音楽だけではなく、数学などでも進んでいる子を評価せず、

レベルの低い子を底上げする事に一生懸命な体質がパロアルトにはあります。

保護者はもちろん、スタンフォードの音楽の先生も過去に抗議していますが、

この傾向は長年変わっていません。

パロアルトがギフテッド教育を辞めてからもはや数年以上経っています。

 

他の学区では音楽のコンペティションに勝つような上手な子にソロを弾かせて、

楽団全体のレベルをあげているのですが・・・。

子供の学校にも国際的コンクールで勝って有名な子や

スカラーシップで音楽大学へ進む子達など何名も耳にします。

誰も学校では音楽をやっていないと思います。

 

上手な子たちと一緒に演奏できない。

貴重な財産を生かしきれず、これは非常に残念な事です。

多様な生徒に教育をしていかなくてはならない公立高校の

落とし穴なのかもしれません。